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受け継ぎ、刻み、未来へつなぐもの
板谷工務店のものづくりは、形をつくるだけの仕事ではありません。
木を知り、まつりを知り、町の誇りを守り続ける“地車大工”として、次の世代が胸を張れる仕事を残したいと考えています。
ここでは、私たちの想いと、木への向き合い方、受け継ぐべき技のことをご紹介します。
板谷工務店の想い
町を走るだんじりは、ただの木工品ではなく、長い歴史の中で育まれてきた「町の誇り」そのものです。
その大切な存在づくりを託される私たち地車大工は、一本の木に触れる瞬間から、完成の最終工程に至るまで、一切の妥協を許さないという覚悟で仕事に向き合っています。
木のクセや粘りを読み取り、最適な部材として生かすこと、見えない部分の構造にこそ手間を惜しまず、すべては「後の世に恥じないものを残す」という職人としての責任です。
板谷工務店は、受け継いだ誇りを胸に、これからも町の宝となるだんじりをつくり続けてまいります。

- 原木について -
板谷工務店の祭車(さいしゃ)づくりは、原木の選定からすでに勝負が始まっています。
木の力を最大限に引き出すために、一本一本を丁寧に見極め、最良の形へ生かすためのこだわりがあります。

01
一本一本の「性格」を読むこと
木目の流れ、年輪の詰まり、油分の多さ、手触り。
職人は五感を使って木の性格を読み、その木がどの部材に最も適しているかを判断します。
同じ欅でも同じ木は二つとないため、見極めこそが技の核心です。

02
「切り旬」を外さない仕入れ
原木はいつ切っても同じではありません。
切り旬に合わせて仕入れることで、狂いが少なく、長い年月に耐える良質な材になります。
これは短期ではなく、100年単位の強さを前提にした選択です。

03
強さだけでなく「粘り」を見る
だんじりや布団太鼓は激しく動くため、硬さだけでは持ちません。
衝撃に耐える粘りがあることが重要で、欅を中心に適材適所で材を選びます。
用途に応じた最適解を見抜くのが職人の仕事です。
- 使用する原木 -

欅(けやき)
もっとも多く使用する祭車の王道材です。
硬さ・粘り・耐久性が高く、激しい動きにも耐え、 年月を経るごとに艶と深みが増します。

松(まつ)
比重が軽く、粘りがあり、衝撃に強い材です。
部材によっては欅より適する部分もあり、軽さを求める部分や動きが多い箇所に用いられます。

桧(ひのき)
狂いが少なく安定性が高い材です。
内部構造や見えない部分の「長持ち」を支え、微妙な湿度変化にも強い特性があります。

唐木(からき)類
黒檀・紫檀など非常に硬く、美しい艶を持つ高級材 です。
装飾部分や強度の必要なポイントに使われ、祭車全体の品格を高めます。

伝承・継承について – 技と文化を未来へ
だんじりや布団太鼓、やぐらの製作は、技術を覚えるだけでは成り立ちません。
木への理解、祭りへの敬意、そして地域とともに歩む姿勢があってこそ、本物になります。
私たちは、受け継いだ技と心を次世代へつなぎ、この文化を未来へ守り続けることを使命としています。
若い職人が誇りを持って「地車大工」として歩める環境づくりも、 板谷工務店の大切な役割です。